真夜中、まるで映画の効果音のような音で目が覚めた。甲高いブレーキ音、重苦しい爆発音、そして遠のくエンジンの音。目撃者である大家さんによれば、突然車が猛スピードでやってきて、道の途中で大回転し、3台の駐車された車にぶつかり、そのままアクセレートし、闇に消えて行ったそうだ。

衝突された3台のうち、もっともダメージのあった車は、近所に住むグレナダ(カリブ海の島)から来た家族のものだった。片側はすべてつぶれて、修理不可能。あて逃げだったため、保証も何もない。不幸にも完全なる破損だ。

しかし朝、外に出てみると、すでにその車の周りに人が集まっている。家族の友人、そして親戚が破損した車のパーツをリサイクルしているのである。タイヤ、ラジオ、電気機器、乗車席、乗車席のカバーといった、まだ使える部品を彼らは無償で友人や親族に提供している。面倒くさくて、そのまま破棄するというケースが多い近代社会だが、彼らはこの不幸事故を他者に貢献する機会としているのである。これこそ、ハイエナライフモーメントだ。

破損した車体とリサイクルの為にタイアを抜き取った後

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  • Napostrophe

    たくましいとともにそんな繋がりがあること自体が生き抜いてゆく強さなのだと感心します。
    近代はすべてを標準化する営みだったけれど、生態系という者はまったく異なった生態が共存することだから、日本で言うところの「捨てる神あれば拾う神ある」というのが強い社会なのだとあらためて考えさせられた。